プロフィール

ポラリスデイサービスセンター門真上島
所長 閑 千尋
副所長 由佐 恵子

「P1グランプリ」とは?

ポラリスでは高齢者の方に、自立した生活を送っていただくことを目標に介護度の改善介護保険からの卒業実現に向けて取り組んでいます。実際に、「車いす生活だったのに、歩いて自分でトイレに行けるようになった」「趣味活動のために、外に出かけられるようになった」など、毎月のように全国の事業所から報告が上がっています。このような改善されたエピソードを『改善事例』、さらに自立した生活を送れるようになり介護保険を必要としなくなった方を『卒業事例』と呼んでいます。

そんな改善事例・卒業事例をもっと共有しよう!と、社内コンテストとして今年の1月から「P1グランプリ」を実施しています。

ご利用者様の中にも、1年間充実していた方もいれば、そうではなかったと感じていられる方など様々ですが、その中でも改善している方や目標達成している方の表情は達成感で満ちています。
そのような方々の素敵な取り組みや、ご利用者様の努力・成果を全社員で共有し、全社で自立支援介護を楽しみながら成長できればという想いからスタートした企画です。

1枚に込める、ご利用者様との熱いエピソード

P1グランプリは、以下のルールに基づいて毎月行っています。

①1ページにご利用者様の情報とTUGの改善前・介前後動画をまとめる
ポラリスでは、世界基準の歩行能力評価のひとつであるTUG(Timed Up and Go)での歩行テストを改善の指標として使っています。P1グランプリでもご利用者様の基本的な情報とあわせて、ビフォーアフター比較としてTUG測定時の動画をご利用開始当初と改善後の2パターンを掲載します。

・ご年齢
・介護度
・そのご利用者様の担当職員
・既往歴
・長期・短期目標
・改善ポイント
・ご利用開始当初の動画・改善後動画

②毎月1事業所につき1事例を投稿

③事業所も本部全職員で、印象に残った事例に投票

④投票によって1位事業所が決定し、表彰される

毎月1位の事業所の担当者から、ご利用者様とのエピソードを紹介していただきます。
ご利用者様と職員で一緒に困難を乗り越えたなどこころ温まるエピソードが多く、同じような方を担当していて携わり方を参考にする方もいらっしゃるのではないでしょうか。

⑤12月はP1グランプリファイナルから年間優勝事業所が決定される

1~11月の投票結果から上位1~10位がグランプリファイナリストに選ばれ投稿権が与えられます。
見事優勝した事業所には、賞金も予定されています。

実際のP1グランプリに投票した事例。左二つは実際は動画になっていて、速さだけでなく歩行の足取りが軽くなっている様子からも改善が伝わってきます。 ※ホリゾン、トーソ、レッグ、というのはポラリスで使用しているマシンの名称です。それぞれ上半身の運動、脚の曲げのばし、膝をのばす運動、と目的に沿って使用いただきます。

門真上島事業所の取り組み

今回は、P1グランプリに活発に参加された事業所の一つであり、毎月の投稿でも注目度の高かった門真上島事業所の皆さんにお話をお伺いしました。

――門真上島事業所は数少ない毎月投稿された事業所で、特に活発にP1グランプリに取り組まれたと伺いました。

閑さん:

ルール的には、毎月投稿が必須ではないのですが、門真上島事業所は1~11月まで毎月投稿していて、そのうち8回も4位以内入選しています。
――忙しい中でどのように投稿スケジュールを確保していたのでしょうか?

由佐さん:
チーム全体でP1グランプリに取り組む姿勢のおかげだと思っています。スタッフ全員でご利用者様の様子を共有し合い、どの事例を投稿するか話し合い、お声がけしました。

1人のご利用者様の目標を達成できるまで見届けたいという想いをスタッフ全員が持っているため、協力的な体制で臨むことができました。

ホリゾンの説明をする由佐さん

ご利用者様との前向きな関わりが改善事例から伝わる

――実際に印象に残っている事例を教えてください。

閑さん:
それでは、P1グランプリファイナルへ投稿した改善事例を挙げてご紹介させていただきます。

3週間の入院で寝たきり生活に。一度は諦めたも前向きな声掛けで取り戻した

由佐さん:
要介護5、89歳の男性の方でした。

腰部脊柱管狭窄症、変形性頚椎症、胸膜炎を患っておられ、たった3週間の入院で立ち上がりや歩行が困難になってしまい、車いすとベッド生活を余儀なくされました。

初めて体験に来ていただく日、閑さんとわたしでお迎えに行きましたが、ベットから車椅子への移乗も二人がかりで大変だったことを覚えています。事業所に向かう道中、車の中では口数も少なく『行ったってしゃーない』と頑なな印象でした。

しかし、ご利用を始められてスタッフからの前向きな声掛けを続け、もう一度気力を取り戻されて、意欲がどんどん出て来て改善に至りました。

ご利用当初は、立ち上がりが難しくTUGを測定することすら困難でしたが、1か月後の改善動画では歩行器を使って49.22秒で歩くことができています。今では、『ここに来たら歩けるようになったわ』と笑顔でおっしゃっていただけており、「以前の仲間との交流のため、杖で公園に歩いて行く」という次の目標に向けて挑まれています。

閑さん:
諦めたと口では言ってるけれど、本当はきっと歩きたくてもどかしい、だからこそ歩けたらすごく笑顔に変われらるんですよね。

それが凄く素敵で、顔つきもどんどん明るく変わっていく姿が、わたしたちも本当にうれしいんです。そこの部分が伝われば良いなと思って、今回はこの方とのエピソードでP1グランプリ ファイナルに臨みました。

いつもP1グランプリへたくさんの投票をいただいて、感謝の気持ちでいっぱいです。また、ご利用者様が笑顔になっていくことへの喜びを職員の皆さんと一緒に共有できているようで、うれしく思っています。

レッグの説明をする閑さん

改善を支えたのは、門真上島事業所のチームワーク

――ご利用者様の笑顔が伝わってくる事例ですね。そのような改善事例や卒業を支えたものはなんだったのでしょうか?

閑さん:
門真上島事業所はとにかくスタッフの雰囲気が明るいんです。

ご利用者様は、いらっしゃった当初は目標が決まらない方も多く、どこか後ろ向きな気持ちを抱いています。おひとり暮らしの方も多いので、なかなか目標や生きがいを見つけにくい方もいらっしゃいます。
そんな中で、スタッフが家族のように接してさしあげることで、一緒に目標を見つけていくようにしています。どんな方でも楽しんで小さな目標から頑張っていただけるようにお手伝いするのが門真上島事業所の特徴です。

スタッフたちは、全員で前向きな声掛けをしていくことを意識しています。ご利用者様のことは全員で共有し合い、みんなで支えています。

ご利用者様の気持ちを少しずつポジティブに変えていこうと、常にチームワークで動いていますよ。お一人おひとりの目標を達成できるように、普段から密にコミュニケーションを取って関わらせていただいています。
だからこそ、改善事例の発表に、ご利用者様も喜んで参加して下さるんです!

由佐さん:
門真上島事業所のメンバーが、明るく冗談も交えながら楽しく関わってくれているおかげですね。

デイサービスは介護保険制度に則ったビジネスのため、スタッフ1名あたりご利用者様が何名、と決まっていて、どうしても時間に限りがあるんです。そのため、マシン以外の1対1の個別の練習などにはなかなか時間を取りにくいという背景があります。
その中でも、スタッフひとりひとりがご利用者様のことをよく把握していて、スタッフ1名が個別のご対応のために抜けたとしても、バックアップがしっかりしているんです。

たとえば、「自分の足で車に乗り込みたい」というご利用者様の目標があるなら、車のドアをまたぐにはこのくらい足が上げられる必要がある、といった具体的な行動に落とし込めます。
そういった、「ご利用者様の希望を一緒に叶える」ところに時間を割くことができるところが、門真上島の改善事例を生んでいます。

こうしたひとつひとつの取り組みが、多くの改善事例につながっていると思います!

由佐さんの声で他の職員も集まって来られました。和気あいあいと、笑顔が絶えない取材でした。

これからのご利用者様の経過も見てほしい

――もし来年もP1グランプリが開催されるとしたら、どのような気持ちで臨まれますか?

由佐さん:
引き続き、門真上島事業所のご利用者様の経過を見ていただきたいです。皆様の素敵な笑顔を共有して、社内に自立支援介護の素晴らしさをもっと伝えられればと思います。

ご利用者様の中には、他のデイサービスに通うことを拒否されていて、最終的にポラリスに来られたという方もたくさんいらっしゃいます。ですが、人の心は必ず変わるもの

根気よく前向きな声掛けを続けていくことで、ご利用者様の生活を豊かにしていこうと考えています。

まとめ

取材後、P1グランプリファイナルが集計され、門真上島は優勝事業所と大接戦の末、1票差の準優勝となりました。

惜しくも優勝は逃しましたが、「P1グランプリ」を通して、門真上島事業所のひとりひとりのご利用者様に向き合う姿勢を伺うことができました。チームワークを大切にして前向きな雰囲気でご利用者様を包むことが、感動的な卒業を多く生んでいることが分かりましたね。

そして何よりご利用者様へ向き合う姿勢は、ポラリスのどこの事業所でも同じです。来年も、ポラリスでお元気になられていくたくさんのご利用者様とのエピソードを楽しみにしています!

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