扶養内勤務と扶養外勤務は、結局どちらがお得?

共働きを考えている夫婦の方の中には、「パートナーの扶養の範囲内で働くのと、扶養を抜けて働くのでは、どちらがお得なの?」と疑問をもっている人も多いのではないでしょうか。

結論からお伝えすると、すべての人にとって「どちらのほうが確実に得」ということは断言できません。
扶養内・扶養外の働き方のどちらにもメリットとデメリットがあるため、実際にどちらが得かどうかは各家庭の経済状況やライフスタイルによって異なります。

扶養内と扶養外のメリットとデメリットを知ったうえで、自分や家族にとって納得のいく働き方を考えていきましょう。

扶養内勤務のメリット

扶養内勤務の働き方には、メリットとデメリットがあります。
はじめに、扶養の範囲内で働く時のメリットからみていきましょう。

税金や社会保険料の負担を抑えられる

パートナーの配偶者として扶養に入ると、定められたパート年収の範囲内で働けば、パートで働く人の税金や社会保険料の負担が軽くなります。
たとえば、パートナーの勤務先の社会保険の扶養に入ることで、健康保険料を支払わなくても保険証が支給され、3割負担で医療機関を受診できます。

また、国民年金では、配偶者に扶養されている人は「第3号被保険者」として国民年金保険料の支払いが免除されるため、自分自身で年金を支払わなくても老齢年金や遺族年金を受け取れます。
令和5年度の国民年金保険料は1ヶ月あたり16,520円(年間198,240円)であるため、扶養に入ることで家庭の負担を抑えられます。

配偶者の所得税・住民税が減る

パートナーの配偶者として扶養に入ると、扶養している側の配偶者も「配偶者控除」や「配偶者特別控除」を受けられ、所得税と住民税の負担が少なくなります。
控除額は夫婦それぞれの収入の組み合わせによって変わりますが、扶養内勤務であればパートナーの手取り額も大きくなるので、家庭にとっては嬉しいメリットといえます。

体調やライフスタイルに合わせて働ける

扶養の制度を活用した短時間勤務であれば、扶養されている人は自分の体調やライフスタイルに合わせて働くことも可能です。
主婦(主夫)として家事や子育て、介護と両立しながら働きたい人はもちろん、体調面の不安から自分のペースに合わせて働きたい人もいるでしょう。
扶養内勤務は、夫婦どちらかがフルタイムで働くことが難しい家庭にもぴったりの働き方といえます。

扶養内勤務のデメリット

一見メリットばかりのように思える扶養内勤務にも、デメリットがあります。
続いて、扶養内勤務で見落としがちなデメリットをみていきましょう。

傷病手当金(休業手当)がもらえない

傷病手当金(休業手当)とは、勤務先の健康保険に加入している人がケガや病気で4日以上働けなくなった時に、療養中の生活費として受け取れる給付金のことです。
勤務先の健康保険に加入していれば、パートタイムやアルバイトで働く従業員にも支給されます。

しかし、配偶者の扶養に入っている場合または国民健康保険の加入者の場合は、傷病手当金が支給されません。
扶養している配偶者の勤務先の健康保険に加入すれば3割負担で医療を受けることは可能ですが、働けない期間の給付金受け取れないことになります。

出産手当金がもらえない

出産手当金とは、自分の勤務先の健康保険に加入している人が産前産後に働けない期間の休業補償として受け取れる給付金です。
しかし、扶養されている人の場合は、パートやアルバイトなどの勤務をしていても出産手当金が支給されません。
ただし、出産一時金は被扶養者として家族の勤務先の健康保険に入っている人も受け取ることができます。

将来の年金受給額が減る

家族の扶養に入っている人にとっては、国民年金の支払いの免除はメリットではあります。
しかし、会社員や公務員が入っている厚生年金には加入していないため、結果的にもらえる年金額は少なくなります。
老後の収入に不安がある場合は、付加年金や繰り下げ受給、iDeCoなどを検討しましょう。

正社員として働くことが難しい

パートナーの扶養の範囲内で働くには、労働時間や年収の範囲が定められているため、正社員として働くことは難しくなります。
そのため、正社員としてキャリアを積みたい人や、より多くの収入を得たい人には向いていないかもしれません。
扶養内で働くかどうか迷った時は、「自分自身がどのように働きたいか?」も大きなポイントになるでしょう。

年収の壁とは?わかりやすく解説!

扶養内勤務で働こうとする時によく耳にする「年収の壁」とは、どのようなものなのでしょうか?

次の表は、パート年収を軸に、扶養される人・扶養する人・社会保険への影響を表したものです。
ここでは、パートの年収別に年収の壁の具体的な内容を紹介していきます。
(※2023年9月15日時点での情報です。今後、制度の見直しによって変更されることがあります。)
パート年収 扶養される人の税金への影響 扶養する人への税金への影響 社会保険への影響
98万円 住民税が発生しはじめる
103万円 所得税が発生しはじめる 配偶者控除から配偶者特別控除に変わる
106万円 勤務先や勤務時間などの条件により、社会保険の加入義務が発生する
130万円
社会保険の扶養から外れる
勤務先の社会保険または国民健康保険に加入する必要がある
150万円 配偶者特別控除が満額受けられなくなる
パート収入が増えるとともに、段階的に控除額が減る
201万円 配偶者特別控除がゼロ円になる

年収98万円未満の場合

パート年収98万円未満の場合

  • 住民税・所得税ともに発生しない
  • 社会保険料はパートナーの社会保険の扶養に入っていれば発生しない
  • 夫(妻)は配偶者控除を受けられる(収入に応じて最高38万円)


家族の扶養に入っている人の場合、パートやアルバイトの年収が98万円未満でほかに所得がない場合は、住民税・所得税の税金がかかりません。
年収が98万円未満であれば、収入がそのまま手取り金額となります。
さらに、社会保険に加入しているパートナーは配偶者控除により、収入のうち最大38万円分にかかる税金が免除されます。

年収98万円の壁

パート年収98万円の場合

  • 住民税が発生する
  • 所得税は発生しない
  • 社会保険料はパートナーの社会保険の扶養に入っていれば発生しない
  • 扶養している人は配偶者控除を受けられる(収入に応じて最高38万円)


パート勤務の年収が98万円を超えると、収入に対して住民税がかかりはじめます。
住民税が発生すると、手取り額は毎月の給与から住民税を差し引いた金額となります。
税金や社会保険料の負担が一切かからない範囲で働きたい人は、パート勤務の年収を98万円未満に抑えるように意識しましょう。

年収103万円の壁

パート年収103万円の場合

  • 住民税とともに所得税が発生する
  • 配偶者控除から配偶者特別控除になる
  • 社会保険料はパートナーの社会保険の扶養に入っていれば発生しない


パート勤務の年収が103万円を超えると、所得税が発生します。
月々の手取り額は、収入から住民税と所得税が引かれた金額となります。
ただし、医療費控除などの控除が適用される場合は、年収が103万円以上でも所得税がかからないことがあります。

また、扶養している人は、配偶者控除から配偶者特別控除に切り替わります。
扶養している人と扶養されている人(パート勤務者)の収入額の組み合わせによって、税金の控除額が変わってきます。

年収106万円の壁

パート年収106万円の場合

  • 住民税と所得税が発生する
  • 社会保険料の扶養から外れる可能性が出てくる
  • 扶養している人は配偶者特別控除を受けられる


年収106万円の壁は、社会保険料が発生しないとされる目安です。
パート勤務の場合は、年収106万円を超え、さらに次の条件に該当すると社会保険加入の対象者となり、同時に社会保険料がかかってきます。

社会保険の加入条件

  • 勤務先の従業員数が101名以上
  • 週の所定労働時間が20時間以上
  • 月額賃金が8万8,000円以上(年間約106万円)
  • 2ヶ月を超える勤務の見込みがある
  • 学生ではない


参考資料:パート・アルバイトの皆さんへ 社会保険の加入対象により手厚い保障が受けられます。 | 暮らしに役立つ情報 | 政府広報オンライン

所定労働時間は、就業規則や雇用契約書などで定められた勤務時間です。
また、月額8万8,000円には通勤手当や残業代などは含まれません。

年収130万円の壁

パート年収130万円の場合

  • 住民税と所得税が発生する
  • 社会保険料の扶養から外れるため、新たに勤務先の社会保険や国民健康保険に加入する必要がある
  • 扶養している人は配偶者特別控除を受けられる


年収130万円の壁は、社会保険上、家族の扶養に入れるかどうかの基準です。
パート勤務の年収が130万円以上であれば家族の扶養から外れ、パートの勤務先の社会保険または国民健康保険に入るため、社会保険料がかかってきます。

家族の扶養に入れる130万円の壁を超えないように働く場合は、月収10万8,333円がひとつの目安です。
ただし、家族の扶養に入れる条件は、健康保険組合によって異なります。
また、一時的にイレギュラーで10万8,333円を超えた場合は、扶養認定を取り消されないこともあります。
家族の扶養に入りながら働く際は、家族の勤務先の扶養認定の条件をよく確認しましょう。

年収150万円の壁

パート年収150万円の場合

  • 住民税と所得税が発生する
  • 扶養されている人は勤務先の勤務先の社会保険または国民健康保険に加入する必要がある
  • 扶養している人は配偶者特別控除が満額受けられなくなる


年収150万円の壁は、扶養している人の税金を計算する際の配偶者特別控除額が減り始める基準です。
パート年収が150万円を超えると、扶養している人の税金を計算する際に配偶者特別控除額が減り、扶養している人の税負担が重くなります。
なお、扶養している人の所得が900万円以上の場合は、そもそも配偶者控除・配偶者特別控除が受けられない、または金額が減額されないため注意しましょう。

年収201万円の壁

パート年収201万円の場合

  • 年収201.6万円から配偶者特別控除がなくなる
  • 住民税と所得税が発生する
  • 扶養されている人は勤務先の勤務先の社会保険または国民健康保険に加入する必要がある


年収201万円の壁は、税金を計算する際の配偶者特別控除額がゼロになる基準です。
年収が201.6万円を超えると、扶養している人の税金を計算する際の配偶者特別控除額が一切なくなります。
年収150万円を超えた時から配偶者特別控除額は段階的に小さくなり、年収201万円に達するとゼロになる仕組みになっています。
年収が201万円を超えると、完全に「扶養から抜ける」状態になります。

扶養内のパート勤務には介護職がおすすめ

扶養の範囲内で働くのであれば、選択肢の一つとして介護職がおすすめです。
ここでは、介護職がパート勤務に向いている理由を紹介します。

家庭と仕事を両立しやすい

介護職は勤務時間の自由が利きやすいため、家庭と仕事の両立がしやすい仕事といえます。
介護施設の中には、半日や数時間の勤務が可能な事業所もあります。
たとえば、幼稚園に通うお子さんを送り出して自分は朝からお昼過ぎまで仕事に行くなど、各家庭のライフスタイルに合わせて働きやすいでしょう。

場所を問わずに働ける

介護職は、都市や地方の場所を問わずに働く場所が見つかりやすい傾向があります。
日本全国には、デイサービスや訪問介護など数多くの介護施設があります。
また、高齢化社会の中で介護施設の数は増加しており、その分求人の需要も見込まれます。
企業や事業所によってさまざまなコンセプトの施設を運営しているため、自分に合う職場を探すことも可能です。

長期で働きやすい

介護職の求人には、パートタイムの募集にも長期契約や長期歓迎の求人が多くみられます。
また、就職試験の面接でも、採用担当者は「長く働いてくれる人かどうか」を重視する傾向があります。
働く側にとっては、自分にとって居心地がよい職場で長期間働き続けられるのは大きなメリットといえるでしょう。

スキルアップを目指せる環境

介護業界の中には、スタッフのスキルアップのための研修費用や資格取得費用を負担してくれる会社が多くあります。
さらに、仕事ぶりを評価されるとアルバイトやパートタイムから正社員への昇格を打診されるケースもあります。
働きながらスキルアップを目指せるので、「目標をもって仕事をしたい」「評価されることでやる気がアップする」というタイプの人にもおすすめです。

リハビリ型デイサービスは未経験からの介護職スタートにも最適

介護職は、パートタイムや正社員などの雇用形態を問わず、未経験者歓迎の求人が多い傾向があります。
なかでも「リハビリ型デイサービス」は、比較的介護度が低くお元気なご利用者様が多いため、介護の仕事を一からスタートしたい人にぴったりです。

次の記事では、リハビリ型デイサービスの詳しい仕事内容や向いている人の特徴を紹介しています。
介護の仕事をさらに知りたい人は、ぜひチェックしてみてくださいね!

ポラリスは「自立支援介護」に特化したリハビリ型デイサービスを運営

株式会社ポラリスでは、「自立支援介護で日本を元気にしたい」というビジョンを掲げ、ご利用者様の自立支援や歩行訓練のサポートを行う自立支援型デイサービスを運営しています。

各事業所では、介護スタッフがご利用者様とともに楽しみにつながるゴールを設定し、緻密なマネジメントをしご利用者様やご家族様と寄り添いながら、要介護高齢者を元気にすることに取り組んでいます。

ご利用者様が元気になっていかれる姿を間近で見られるのは、ポラリスならではの感動的なやりがいです。
次の記事では自立支援介護について詳しく紹介しているので、ぜひご覧ください。

まとめ

夫婦共働きを考えている人の中には、家族の扶養の範囲内と範囲外のどちらを選ぶべきか悩む人も多いでしょう。
扶養内と扶養外にはそれぞれのメリット・デメリットがあるので、自分や家族のライフスタイルにあてはめて、あなたがいきいきと働ける方法を見つけてくださいね!

また、パート勤務でどのような仕事に就こうか考えている人には、リハビリ型デイサービスの介護職がおすすめです。
未経験からのチャレンジでもスキルアップをはかりやすいため、目標ややりがいをもっていきいきと働けるでしょう。

介護の仕事が気になる人は、次のインタビューや求人情報もぜひご覧ください!

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